
ここでは小説「サイド・トラック」の
- 登場人物
- あらすじ
- 読書感想文
の書き方をまとめています。
※2019年中学生の読書感想文課題図書です。
読後感は爽やかで、とても良い作品です。
読書感想文も書きやすいと思うので、お勧めですよ!
「サイド・トラック」のあらすじと要点
ADD(注意欠陥障害)で運動が苦手な男子生徒が、陸上部でクロスカントリー選手として成長していくアメリカの中学校が舞台のお話。
少しずつ成長していく様子に、とても共感できます。
ジェセフに意地悪するキャラクターは、ドラえもんに出てくるスネ夫やジャイアンのようで、ジョセフがはのび太っぽいです。
そしてヘザーはまるでしずかちゃん。
賢くて運動もできて、義理堅いタイプです。
物語の中でも、ジョセフは映画版「ドラえもん」の「のび太」のように成長していきます。
またジョセフの周囲の人も最高なんです。
ジョセフの現状を分かった上で、できたことをしっかり褒めてくれて、次に繋がるように手を差し伸べてくれるんです。
読んでいて、「ここまでジョセフが恵まれた人間関係を持っているのは、ジョセフが誠実に生きている証拠だ」と思う一方で
個人的には、悪者キャラの子が心配になりました。
レース中に、ライバル選手を肘で突き飛ばすような子供に育ってしまったのは
何か事情があるのかも…
なんて横道に逸れましたが、作者がこの物語で伝えたいことは
- 続けることの大切さ
- 困難を抱える人への理解や適切な援助を考えること
- 友情
などでしょうか。
他にもたくさんあるかな?
あなたも読んで見つけてくださいね。
「サイド・トラック」主な登場人物の紹介
ジョセフ(ジョセフ・フリードマン)
この物語の主人公。アメリカのニューヨーク州に住んでいます。日本で言うなら中学校1年生で通級指導教室にも通っている。
ADD(注意欠陥障害)。注意がすぐにわき道にそれ、大事なことがなかなか頭に入ってこない特性をもつ。
通級担当の先生が監督の陸上部に入り、クロスカントリーを始める。
ヘザー
ジョセフの通う学校に転校してきた女子。大きく、強く、走るのも速い。
ジョセフと同じ陸上(クロスカントリー)をしている。
母親は研究者で世界中を飛び回っていて今はハワイにいる。ヘザーは庭職人の父親と2人暮らし状態。
チャーリー(チャーリー・カストナー)
ジョセフと同学年の男子。アメフト部で体が大きいがかしこさはない。
事あるごとにチャーリーをいじってくる。
T先生(T監督)
レイクビュー中学校の通級指導教室の陽気な女の先生。
学校に新しくできた陸上部の顧問も務め、ジョセフの成長に寄り添ってくれる。
おじいちゃん
ジョセフの祖父。数年前に奥さんを失い、ゴルフコースもある高齢者住宅に住んでいた。しかし、単調すぎる生活が不満でジョセフの家に引っ越してくる。
出会い系サイトをチェックするなど元気なおじいさんで、ジョセフのよき理解者。ジョセフをスーパーヒーローと呼んでいる。
他にも何人か出てきますが、とりあえずこの人たちを覚えておけば大丈夫です。
「サイド・トラック」読書感想文のテーマ例
発達障害を持つ生徒の成長が作品のテーマです。
自分自身の経験を絡めながら自分の考えをまとめると良い感想文にきっとなりますよ。
- 誰にとっても大切な「続ける」ことを、ジョセフと自分を比べ、自分が何を頑張っていきたいのかをまとめる。
- ジョセフの特性と、自分の得意・苦手を考え、自分の強みをどう活かしていくかを考える。
- ジョセフにヘザーやおじいちゃん、T先生がいたように、自分にとっての友達や助言者、道しるべとなる人を考え、将来につなげる。
- ジョセフとヘザーの友情について考え、自分にとっての友達の存在意義をまとめる。
- チャーリーにやられっぱなしだったジョセフが成長できた理由を考え、自分はどのように成長していきたいかをまとめる。
- アメリカの通級指導教室のやり方と、日本の中学校の通級指導教室のやり方の違いと、それぞれの良さを考える(通級教室経験者向け)。
自分がどう成長していきたいのか
何を頑張ろうと思っているのかに思いが至ると
読書した価値があったというものです。
「サイド・トラック」読書感想文の流れの例
では、実際に「こんな風に書いてみたら・・・」という流れをまとめます。
ジョセフの性格をまとめる
まずは、物語から感じられる、ジョセフの性格をまとめましょう。
ADDやLDの特徴を理解しながら、物語の最初の方の弱虫だった様子をまとめましょう。
ジョセフは注意欠如障害でLDで感覚過敏だ。
注意欠如障害は、いろんな事に注意がそれてしまう障害で、ジョセフも苦労している。
トラックに落ちているガチョウのフンが気になって動けなくなったり、ピストルの音でパニックになってしまったり、ぼくらにとっての当たり前のことが当たり前じゃない状態で生きている。
だから、失敗も多い。そして、失敗が多いために、自分に自信が持てなかった。
がんばっても、なかなかうまくいかない様子をあなたなりの共感を持ってまとめましょう。
自分の性格を振り返る
ジョセフの「自信がない」性格に対して、自分の性格を比べましょう。共感できる部分を見つけて、広げていくと、読者が関心を持って読み続けてくれます。
ジョセフに比べて、自分はどうだろうかと考えた。
ぼくには注意欠如障害と言う診断はない。
ピストルの音も平気だし、字はマスの中にきちんと収まる。
でも、ぼくはジョセフに共感してしまう。
なぜなら、ぼくもたくさんの「失敗」をしてきて、いろんなことに自信が持てないからだ。
ぼくは、絵が苦手だ。
物や人を、見たまま描きたいのに、自分が思うように描けたことがない。
授業で仕上げた作品を、人に見られるのはとても恥ずかしい。
ジョセフはきっと、そう言う思いを生活の中でたくさん繰り返してきたのだと思う。
バスケットのフォーメーションが理解できずに怒られたり、突拍子もない発言をしたりと、彼なりの精一杯でも、上手くいかないことがたくさんあったはずだ。
自分が得意ではないことを考え、ジョセフの正確に重ねると、書きやすいですよ。
上の例では「絵を描くこと」にしましたが、
- 「音楽」で指が思うように動かないとか、
- 体育」でボールを打ったり蹴ったりするのがさっぱりできないとか
あなたなりの苦手を正直にまとめましょう。
ジョセフが成長できた理由を考える
作品の中で、ジョセフは大きく成長しました。成長の原因をいくつか挙げて、成長するためのポイントを考えましょう。
でも、ジョセフは物語の中で大きく成長した。
陸上部でクロスカントリーの練習をしたり、大会に出ることで、確実に彼の心は強くなった。
彼が陸上競技を選んだのは、とても良かったと僕は思う。
理由はいくつかある。
まず、陸上は基本的に「個人スポーツ」だということだ。
バスケットや野球、サッカーなどの「チームスポーツ」は、相手の動きを見ながら動かなければならない。
いろんな情報を同時進行で対応しなければならないチームスポーツに比べ、個人スポーツはジョセフにも取り組みやすい。
次に、成長が分かりやすいということだ。
大会は毎回コースは変わるものの、タイムと言う客観的な記録が残る。
つまり、自分の成長を具体的な「タイム」と言う形で実感できる。
ジョセフは「自己ベスト」を更新し続けることで、成長しているのが自分でも分かったはずだ。
個人スポーツとチームスポーツの違いを考え、ジョセフには個人スポーツが向いていたことをまとめましょう。
T先生やヘザーなど、かけがえのない存在の大切さについてまとめる
ジョセフがクロスカントリーを始めたきっかけ、そして続けられた原因をまとめましょう。
ジョセフが陸上を始めたのは、通級教室のT先生が勧めてくれたからだ。
T先生は、ジョセフの特性、つまり、臨機応変でマルチな対応は難しいけれど、コツコツ頑張れる特徴が、個人競技の陸上で活かせると考えていた。
実際にはピストル音など、ジョセフが予想外の状況でパニックを起こしてしまうこともあったけれど、少しずつ克服していけた。
ジョセフの成長にもう一つ欠かせないのは、ヘザーの存在だ。
ヘザーはジョセフに期待し、協力し、共にがんばる。
一緒に取り組む友だちがいることで、ヘザーはくじけず陸上を続けることができた。
たとえ客観的な記録は遅くても、ジョセフは「自己新記録」を更新し続けることができたのだと思う。
ジョセフは一人ではきっとこんなに成長できなかっただろうと言うことを、友だちや先生の存在を挙げながらまとめましょう。
自分自身の経験につなげる
ジョセフの例から、自分の経験や自分の身の回りのことに思いを広げましょう。
私は今、部活動ではバスケットボール部に所属している。
きっかけはBリーグのの試合を生で見て、感動したからだ。
私はあまり器用ではないけれど、先輩や友だち、担当の先生はやさしく、時に厳しく指導してくれる。
お陰で、ポジションやフォーメーションについて理解できたし、実際の試合でも動けるようになった。
わたしが部活を頑張れるのは、友だちがいるからだ。
私にとって、基礎練習は退屈でつまらない。
一人ではきっとドリブル練習なんて続けられない。
だからこそ、一緒に高め合える友だちの存在は貴重だ。
そして、単調な練習をすることで、難しい技やテクニックを身につけ、友だちと行きのあったプレーができるようになっていくはずだ。
あなた自身、友だちと励ましあったり助けあったりした経験がきっとあるはずです。
その経験を、できるだけ具体的に説明することで
「協力してこそ成長がうながされる」ということを描きましょう。
ジョセフのこれからと、自分のこれからを重ね合わせる
ジョセフがこれからどう成長するのか考えましょう。そして自分も頑張っていこうと言うことをまとめて終わりましょう。
ジョセフはきっと、これからもコツコツと部活を続けるだろう。
ナンバーワンにはならないかもしれないけれど、昨日の自分を越えるための努力はきっと続けるだろう。
続けること、成長することの喜びを知ったからだ。
私も、今いる場所で、自分のできることを精一杯していきたい。
読書することで感じた気持ちを
自分ががんばっていこうという決意につなげて終わりましょう。
「サイド・トラック」作者の情報
作者はアメリカの作家、ダイアナ・ハーモン・アシャーさん。
名門イェール大学で英語と英文学を学んだ方です。
出版社・映画会社勤務後、子どもを3人育て、作家デビュー。
この「サイド・トラック」が第1作だそうです。
子育ての経験がこの作品の中にふんだんに生かされていますよ。
最後に
世界中に、発達障害の子はいます。
発達障害の子が、どんなふうに考えているのかを、
この本を読んであなたが知る事ができたなら、
読書の価値があったということです。
納得の感想文に仕上がるといいですね。
2019年の中学生の読書感想文課題図書には
ある晴れた夏の朝
星の旅人
があります。
そちらも是非読んでみてください。
どちらも面白かったですよ。
下に、あらすじまとめと読書感想文のかき方のリンクがあるので、
興味がある人は是非そちらもご覧下さい。
こちらもおすすめ↓