
「月と珊瑚(上條さなえ 講談社)」は、小学校高学年におすすめです。
沖縄の悲しい歴史や戦争について考えたり、自分を見つめたりする、よい機会になりますよ。
「月と珊瑚(上條さなえ 講談社)」は2020年の読書感想文課題図書(小学校高学年)です。
ここでは、読書感想文のアイデアと書き方の流れの例をまとめています。
沖縄の今を考えたり、あなたの成り立ちを考え、あなたオリジナルの感想文に仕上げましょう。
この「月と珊瑚」をお勧めする学年は、もちろん小学校高学年です。
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【月と珊瑚】ひとことあらすじ
沖縄民謡歌手の祖母に育てられている女の子と
都会から引っ越してきた女の子が
それぞれの悩みを乗り越え、将来を考える物語。
感想文の下調べとして
この物語には沖縄民謡やエイサーが出てきます。
読書感想文を書き始める前に、聞いておきましょう!
物語にも重要な役割を果たす歌、
「てぃんさぐぬ花」です。
沖縄民謡、音階が独特でいいですよね。
♪ドミファソシド♪
レとラを抜くと、沖縄民謡っぽくなるので楽器がある人は試してみてください。
この本の主人公の珊瑚は、沖縄民謡をおばあちゃんに習っています。
読書感想文を書く時のBGMにして下さい!
【月と珊瑚】主な登場人物
ここでは「月と珊瑚」に登場する主なキャラクターを紹介します。
主人公:大城 珊瑚(おおしろ さんご)
沖縄、那覇の新都心小学校に通う六年生の女の子。
勉強はキライ。
九州で美容師として働いている母と離れて暮らしていて、
民謡歌手の祖母に育てられている。
泉 月(いずみ るな)
珊瑚の通う新都心小学校に通う六年生の女の子。
都会のお嬢様学校を退学して転校してきた。
一等地のマンションで、祖母に育てられている。
イメージはベルバラ(ベルサイユのばらという名作漫画)のオスカル。
ボーイッシュですらっとしている。
珊瑚にとってはあこがれの女の子。
でも実は、男性恐怖症。
ルリバー
珊瑚の祖母。沖縄民謡歌手。
ちんすこうが大好きで、1日15個は食べる。
民謡酒場でライブをしている。
結構有名な人で、取材の依頼も来るが、すべて断っている。
本名は山田すみ。
メインはこの3人です。
その他にも、いろんな登場人物が出てきますが、
読書感想文のテーマにしやすいのは、
やはりこの3人でしょう!
【月と珊瑚】感想文のアイデア・テーマ
では、読書感想文のテーマにできそうなアイデアをいくつか挙げていきます。
あなたの読書感想文づくりの参考になれば幸いです。
・沖縄にある基地問題と沖縄の歴史について考える。
・珊瑚と月の境遇についてまとめ、自分の人生を考える。
・ルリバーの人生をまとめ、珊瑚が「民謡を歌い継ぐ意味」を考える。
・沖縄が占領された「6月」について調べ、平和を保つ大切さを訴える。
・「ゆうかく(遊郭)」の女の人の境遇について考え、自分の中にある差別意識と向き合う。
今はリゾート地としても魅力的な沖縄ですが、
第二次世界大戦で、たくさんの市民がなくなった沖縄戦や
アメリカによる占領
という出来事にも目を向けられるといいですよ。
【月と珊瑚】読書感想文の例
では、僕ならこういう流れにするかな…という例を書いてみます。
自分のエピソードを入れて、あなたオリジナルの作品にしてしまいましょう。
参考になれば幸いです。
まずは、自分の「ルーツ」を調べ、さかのぼれるだけさかのぼってみる。
最初の「つかみ」で自分のことを語りましょう。
あなただけの情報なので、読者は興味を持ってくれるハズ。
是非、自分のルーツについて語りましょう。
あなたはあなた自身のご先祖についてどれぐらい知っていますか?
ぼくは自分の「ひいおじいちゃん」までしか知りません。
先祖代々のお墓がある人は行って確認してみてはどうでしょう。
自分につながる過去を知ることで、今の自分の存在について考えることができますよ。
例えば…
ぼくは、いわゆる普通の家庭に育っている。
お父さんもお母さんも会社で働いていて、外食するのはボーナスが出た時だけだ。
おじいちゃん、おばあちゃんは、離れたところに住んでいて、会えるのは帰省した時ぐらい。
ぼくは、月と珊瑚を読んで自分の先祖がどこでどんな風に生きていたのかが気になった。
そこで、おじいちゃんに電話して聞いてみた。
そしたら、おじいちゃんは子供時代を〇〇で過ごしていたことを知った。
そんなところで僕の先祖が生きていたなんて、意外だった。
珊瑚や月の境遇について考える。
次に、本の内容につなげていきましょう。
珊瑚も月も、母ではなく、祖母に育てられています。
深いわけがあるのですが、現実にもあり得ることに思い至りましょう。
例えば…
『月と珊瑚』の月と珊瑚は、おばあちゃんに育てられている。
珊瑚の母は九州で暮らしていて、祖母のルリバーが珊瑚を育てている。
ルリバーは沖縄民謡の歌手で、珊瑚も民謡歌手になることを望んでいる。
ルリバーは有名なのに、取材を受けようとしない。
理由は、ルリバーの母が「ジュリ」だったから。
転校してきた月もお金持ちのおばあちゃんと暮らしている。
でも、あまり幸せには見えない。
親とうまくいっていないのが理由だ。
二人とも、自分の生い立ちに引きずられている。
自分の生まれや身分に変にこだわってしまうのもわかる気もする。
僕の先祖はきっと普通の農民だけれど、もし先祖が有名人だったら、
訳も分からず、誇らしい気持ちになるかもしれない。
逆に、差別される立場の人だったら、悲しいかもしれない。
先祖の立場が、今の生活につながる部分はあるからだ。
過去は変わらないが未来は変えられることをまとめる。
過去は、もう起こったことだから変えられません。
あなたが生まれた両親も、先祖ももちろん変えようがありません。
でも、この先のあなたの人生を作っていくのはあなたです。
あなたの心意気が、あなたの人生を変えていきます。
自分の将来について、前向きに語りましょう。
例えば…。
珊瑚の家は、たまに子ども食堂にお世話になるくらい貧しい。
一方、月の家は、家政婦さんを雇うほどのお金持ちだ。
それぞれの家の暮らしは、親たちの力によるものだから、
それは二人には何ともしがたい。
でも、珊瑚も月も、大人になった時にする仕事によって
生活は変わってくるはずだ。
過去は変えられないけれど、未来は変えられる。
前向きに頑張るぞ~という雰囲気を出しつつ、
自分の話に戻っていきましょう。
過去はしがらみでもあるが、伝統という強みもあることに目を向ける。
繰り返しますが、過去は変えられません。
引きずりたくない過去もありますが、受け継いでいきたい過去もあります。
受け継ぎたいことは「伝統」として、尊重したいということを
今度は述べましょう。
珊瑚は沖縄民謡という特技があります。
あなたはどうでしょうか。
自分のできることも絡めながら作文にしていきましょう。
例えば…。
過去は消せない。
でも、過去があったからこそ「伝統」がある。
珊瑚は、沖縄民謡を歌うことができる。
ルリバー直伝のすごい特技だ。
最初、珊瑚はやる気はなかった。
でも、民謡の大切さを自覚してから、
気持ちの入り方が変わった。
きっと、将来は有名な沖縄民謡の歌い手になるだろう。
僕は地元のお祭りの太鼓をたたけるぐらいしかできないけれど、
地元のお祭りは昔から続く地域のほこりだ。
大人になっても続けていきたい伝統だし、
身につけたことを、僕は一生忘れないでおきたい。
前向きに頑張るぞ~という雰囲気を出しつつ、 まとめに向かいましょう。
様々な問題を抱える沖縄の今に触れつつ、話を終える。
珊瑚の住む沖縄は、悲しい歴史を背負っています。
古くは琉球王国だったものが日本に併合され、薩摩の支配を受けました。
第2次世界大戦では日本の最後の砦としての沖縄戦で、たくさんの人々がなくなりました。
そして、アメリカに占領統治されました。
そして、米軍基地は未だに沖縄に残っていて、飛行機は住宅上空を飛び回っています。
このように述べると苦難の連続ですが、
でも、沖縄の人々は前向きに生きている人も多いのです。
前を向いて、過去を乗り越え、素晴らしい未来を作りたい
とまとめて、読書感想文を終わりましょう。
例えば…。
物語を読んで、今の沖縄にはいろんな問題があることが分かった。
戦争でたくさんの人々がなくなったこと。
アメリカ軍の基地があること。
学校の上空を戦闘機が飛んでいること。
そんな中で珊瑚は育ち、大人になっていく。
珊瑚は沖縄民謡の歌手になることを決意した。
ぼくはまだ、自分の目標は決まっていないけれど、
地元のことをもっと知り、
地元の良い伝統を大切にしていきたいと思う。
読書することで、自分の生き方を考えることができたら、
きっと読書感想文として成功です。
あなたなりの決意をまとめ、
読書感想文を終わりましょう。
最後に
沖縄、いいところですよ。
ぼくはたったの4日しか滞在したことはないですけれど、
やわらかい雰囲気、とても好きでした。
この本を読んだからには、今度は
民謡酒場、是非訪れようと思います。
読書することは、自分の世界を広げることだなぁと
ぼくはこの本を読んで改めて思いました。
あなたも、この本を読むことで
きっといろいろ考えたことがあると思います。
考えたことを文字にまとめて表現する、
それが読書感想文ですよね。
あなたオリジナルの読書感想文が出来上がるよう
応援しています。
頑張ってください!
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