
「クニマスは生きていた!」のあらすじ・ネタバレ・読書感想文の書き方を紹介します。
人間が絶滅させてしまった生き物はたくさんいますよね。
絶滅の原因の多くは人間の食料を増やすためです。
「クニマスはいきていた!」は
自然保護と開発について
とても深く考えさせてくれる作品でした!
下にまとめたあらすじと読書感想文の書き方が、あなたの感想文のアイデアに役立てば幸いです。
「クニマスは生きていた!」ってどんな本?
「クニマスは生きていた!」(汐文社)は2018年の高学年の読書感想文課題図書です。
・著者・・・池田 まき子
著者・池田まき子さんってどんな人?
著者の池田まき子さんは、児童書ノンフィクション作家。
オーストラリアに留学して以来、オーストラリアに住み続けているそうです。
日本を舞台にした作品がたくさんありますが、取材の度に日本に戻ってきているのでしょうね!
動物(生き物)をテーマにした著書と障害(特に目の見えない人)をテーマにした著書が多いです。
「クニマスは生きていた!」は動物をテーマにした作品です。
「クニマスは生きていた」のあらすじとポイント
秋田県の田沢湖だけにいたクニマスは田沢湖では絶滅してしまったけれど、
山梨県の西湖で生きながらえていて、いつか田沢湖へ里帰りさせたいという話。
この本の作者は、自然環境を壊した人間の責任を、それはそれは重く受け止めています。
便利さや利益を求めて行動するということは、自己中心的な考え方で行動しているということです。
自分の利益だけを求めた結果、待っていたのは破壊された環境と特定の生き物の絶滅や増えすぎでした。
日本の狼が害獣として絶滅させられた結果、鹿が増えました。
そして狼の次は鹿が害獣になってしまいましたよね。
世間には、クニマスにそんなにこだわらなくてもいいんじゃない?と思う人は多かったと思います。
でも問題はクニマスだけじゃなくて、環境全体の問題なのです。
自分の家だけ綺麗にして、外ではポイ捨てしていたら良くないですよね。
自分の服を綺麗にしようと、洗剤をたくさん使って洗濯して、水を汚していることとも同じですね。
自然環境を守ることは「どうすれば自分だけじゃなく、周りも幸せになれるのか?」と考えることと同じですね。
神様、自分の部屋を涼しくするためにエアコンを使い、室外機から熱を出して温暖化に寄与している僕を許してください。
(おまけ情報。研究者というのは中坊徹次さんという人で、当時、京大の教授でした。ちなみにクロマスをクニマスではないかと考え、鑑定を依頼したのは、魚のかぶり物で有名な「さかなくん」だそうですよ!)
主な登場人物
三浦久兵衛さん
最後のクニマス漁師。田沢湖から魚が姿を消してしまったことを嘆き、
他の湖に移植されたクニマスが生きている可能性を追い続けた人です。
三浦久さん
久兵衛さんの息子さん。父の遺志を継ぎ、山梨県の西湖でクニマスがいることを確認しました。
主な舞台
田沢湖
この物語の最も中心となる場所です。
日本でいちばん深い湖で水深425m。
湖の底は海面よりも低いです。
透明度が高く「神秘の湖」と呼ばれていましたが、
玉川の水を入れることにより、一度は死の湖になってしまいました。
西湖
田沢湖で取れた卵が運ばれてきた山梨県の湖です。
西湖の底深くで、クニマスは細々と生き伸びていました。
玉川
酸性が強く、毒水と呼ばれる水質でした。現在は中和施設が作られていますが、中性化はなかなか難しいようです。
玉川ダムへアクセスはこちら↓
感想文のヒント
①絶滅してしまった生き物とクニマスを比べましょう。
絶滅してしまった生き物とクニマスの違いを比べ、
自分たちがこれからすべきことを書くとよいでしょう。
作者の意見に賛成か反対かをはっきりさせると
読書感想文である上に、意見文としてもまとまります。
実は今一番求められている力は、
自分の考えを論理立てて説明する力
なので、論理力を鍛える題材としてとてもよいですよ。
②人間は生きるために開発せざるを得ないことをテーマにする。
クニマスが田沢湖から姿を消した原因は
食糧増産のために湖の水を使ったことです。
玉川の「毒水」を田沢湖に入れることで
魚が姿を消すことは、当時、予想できたでしょうか?
人は、森を切り開き、農地を確保することで
食料不足の心配を少なくし、
安心して暮らせる工夫をしてきたのです。
開発は自然破壊と直結しているので
開発と保護のバランスをとることは大切なことですが、
自然保護にはただ「もうかればいい」状態と比べ、
明らかにお金がかかります。
そのお金をだれが負担するべきなのか
よいアイデアを出してまとめると
読書がきっかけで深く考えられた事が表現できますよ。
ポイントは「比べる!」
自分が伝えたいことを、作者が伝えたいことと比べて表現することで、
自分の意見はよりはっきりと伝わります。
色々な例を「比較」のために使って、説得力のある文章に仕上げましょう!
こんな順番で書くと読書感想文としてまとまります!
①身近な動植物で、少ない、又は絶滅した生物の紹介をしましょう。
例えば、コウノトリ(その他、絶滅しそうな生き物)と比べてみましょう!
こんな感じで書きだすといいかもしれません。
豊岡市には今、コウノトリが住んでいます。コウノトリは一度日本から絶滅してしまいました。
でも、豊岡の人たちの努力で、日本各地で野生の生活を送れるようになりました。
②①で書いた動物の絶滅までのいきさつをまとめましょう。
例えば・・・
コウノトリはかつて、日本中で見られる鳥だったそうです。
でも、農業の発展のために田畑が整理されたり、農薬が使われたりしました。
農薬が使われた水では、コウノトリのえさとなる魚が昆虫などの動物が生きにくく、
コウノトリの数も減っていき、日本からコウノトリが消えてしまいました。
③クニマスが田沢湖から姿を消したいきさつをまとめましょう。
ここで、クニマスのことに触れましょう。
田沢湖では、玉川からの水が入ってきたために湖の酸性化が進み、
クニマスが住めない環境になってしまいました。
玉川の水を田沢湖に引き込んだのは、食糧増産のためでした。
冷害続きで何としても食料を確保したい状況で
クニマスが絶滅するとは考えられなかったのだと思います。
コウノトリも食糧増産・耕地整理のために姿を消しました。
きっと、他にも絶滅してしまった生き物がいることをまとめましょう。
④過去の状況と今の状況を比べましょう。
なぜ今、自然環境を守ることが日本では大切なのかを考えましょう。
例えば・・・
日本は世界の中では先進国と呼ばれています。
物は十分に行きわたり、工場も、ゴミを出さないための努力をしています。
自然環境を保ったまま開発をするのが、今の時代は大切にされています。
豊かな暮らしと自然保護の両立の大切さを訴えましょう。
⑤クニマスやコウノトリが復活するシナリオを書きましょう。
コウノトリは今、日本の空を飛ぶようになりました。
クニマスはどうしたら田沢湖に戻ることができるかをまとめましょう。
例えば・・・
コウノトリは一度姿を消しました。でも、ロシアに同じ種類のコウノトリがいました。
ロシアからコウノトリを分けてもらい、日本で数を増やして
自然の中に放しました。
日本の空に放たれるまでに、豊岡ではコウノトリのえさが増えるような工夫をしました。
コウノトリが住める環境を作った上で
コウノトリを自然に戻したのです。
クニマスが田沢湖に戻るためには
クニマスが住める環境を整えないといけません。
つまり、酸性の水を中性にして、昔のようにしなければならないのです。
中性化にはとても時間がかるようですが、
コウノトリが復活できたように、きっと、クニマスも復活できると信じています。
なぜなら、たくさんの人が研究や実験をしているからです。
クニマス復活までの道筋をまとめましょう。
⑥自分がどうしていきたいのかをまとめましょう。
環境破壊は日本だけの問題ではありません。
発展途上国と呼ばれる国々は、昔の日本のように
環境保護より経済発展を大切にしています。
発展途上国に対して日本が、そして自分ができることを考えて書きましょう。
そして地球全体で環境保護と開発を両立できるようにしていきたいことをまとめましょう。
例えば・・・。
クニマスやコウノトリのように、世界中で姿を消してしまった生物はたくさんいます。
これからも、特に発展途上国ではさらに生物の絶滅が続くでしょう。
壊した環境を元に戻すのは大変なことだけれど、
日本には環境を守りながら開発を進める技術があります。
日本は発展途上国と呼ばれる国の発展を助けています。
助けながら、環境保護の活動も進めると、
地球上の環境保全に役立つことができます。
この本を読んで、環境保全と開発のバランスをとることのむずかしさを感じました。
私は、ジャイカの活動に興味があります。
将来、ボランティアとして環境保護の仕事を
外国でやってみたいと思っています。
など、自分の将来につなげて終わりましょう。
最後に
長いまとめに最後までお付き合い頂きありがとうございました。
現代の重要なキーワードとして
「持続可能な開発」
というのがあります。
開発はするけれど、ずっと続けられる
という意味です。
クニマスの例で言うと、
毎年漁はするけれど、取りすぎない。
取りすぎないことで、毎年同じような量を手に入れることができる。
ということですよね。
私たち人類が、この先もできるだけ長く地球上に生き続けられるために、
あなたも是非よい方法を考えてみてください。
ちなみに
中学校の国語の教科書(光村図書・中1)にも
クニマスを扱ったお話があります。
中学校の勉強の予習にもなったはず・・・。
よい読書感想文に仕上げて下さい。応援しています!