
「奮闘するたすく」のお話、読書感想文としてお勧めです!
パッと手に取った時、表紙のイラストから
「お年寄りと子供が同じ方向を向いて頑張る」
話だと感じられます。
裏表紙には頭からスカーフを巻いた外国人に見えるエプロン姿の女性も走っていて、気になりますよね。
読めば納得。デイサービスを舞台にしたお話でした!
総合的な学習の時間で福祉をテーマにしたことがある人なら
学習した内容をいかして感想文が書けます!
デイサービスなんて知らない・・・という人には、
デイサービスに通うお年寄りの様子を知ることができます!
あらすじや感想文の書き方をまとめたので、参考になるとうれしいです!
「奮闘するたすく」ってどんな本?
「奮闘するたすく」(講談社)は、高学年の課題図書(2018年)で、日本が舞台の物語です。
著者・・・まはら三桃(まはら みと)
装画・・・井筒啓之(いづつ ひろゆき)
まはら三桃って、どんな人?
作者のまはら三桃さんは、1966年福岡県北九州生まれの児童書の作家さんです。
『鉄のしぶきがはねる』という作品で、第27回坪田譲治文学書・第4回JBBY賞を受賞したそうです。
『鉄のしぶき…』は工業高校の(数少ない)女子が主人公で、「ものづくり」コンテストに出場するお話です。
こちらも魅力的な話ですよ。
主な登場人物
佑(たすく・野沢佑)
この物語の主人公。5年生。日記に祖父がデイサービスに通っていることを書いたことから、担任の早田先生に目をつけられ、夏休みの自由研究レポートとしてまとめることを頼まれます。そして、祖父の通うデイサービスで取材したり、お手伝いをしていきます。
大内善雄(おおうちよしお)
佑の母方の祖父。75歳。刑事として定年まで勤め上げた剣道の有段者。体も頑丈で同世代のお年寄りよりもしっかりしていて声も大きいのですが、2年半前に奥さんをなくし、一人暮らしを始めてから認知症が始まり、デイサービスに通うことになります。
一平(長尾一平・ながおいっぺい)
佑の友達。5年生。カメラマンとして佑と一緒にデイサービスに通います。将来お笑い芸人を目指しているお調子者。目鼻立ちのくっきりした昭和のアイドル顔で、デイサービスでも人気者になります。
林さん(林博子・はやしひろこ)
デイサービスセンター・こもれびの主任ヘルパー。ふっくらとしたにこやかなおばさんで、元気も良い。
リニさん
インドネシア出身の研修生。日本で介護福祉士になろうと勉強中で、こもれびで働いています。
元気で真面目でとても熱心。佑や一平にたくさんのことを教えてくれます。
早田先生(早田香苗・はやたかなえ)
佑と一平のクラスの担任。学校で一番怖い先生。身長150cmと高くはないけれど、柔道の有段者で強い。
目が鋭く、目からビームが出ていると佑は感じている。
キワ子さん
「こもれび」の2階、花の部屋に住んでいるおばあさん。まもなく、最期を迎えそうな様子です。
そのほかにも、デイサービスで働く人・通う人がたくさん出てきますよ。
「奮闘するたすく」あらすじと要点
小学校5年生の佑(たすく)が夏休みの自由研究で、祖父の通うデイサービス「こもれび」の様子をまとめることになり、デイサービスで色々な体験をするお話。
亡くなった僕の祖父も、デイサービスに行くのを嫌がっていたのを思い出しました。
若い時にバリバリ働いていた&もともとお調子者ではない方は、デイサービスで「風船遊び」や「手遊び」を嫌がりそうです。
でも体も脳も衰えているから、必要なのはわかります。
だから、幼稚に見えない工夫があると
今までデイサービスを嫌がっていた方達も喜んでくれるのでは?なんて悶々と考えてしまいました。
話は逸れましたが、佑はタイトル通り奮闘しました。
佑は小学生ですが、デイサービスのお仕事見学やお仕事体験などを通して
「仕事」って何なのか、理解が深まったと思います。
外国人のスタッフがいるおかげで、外国人労働者が日本の介護現場で働く問題についても考えさせられます。
そして佑は、人生の最期の時期を過ごす人たちと、彼らをケアする場面から
多くのことを感じたはずです。
この本を読んだあなたには、どんなことが伝わったでしょうか?
読書感想文のヒント
①デイサービスがやっぱり大きなテーマにできますよね。
自分のおじいちゃん・おばあちゃんがもしデイサービスに通っていたら、
おじいちゃん・おばあちゃんにインタビューしてみましょう。
実際のデイサービスの様子と、物語の舞台と比べるときっと面白い感想文になりますよ。
②外国人労働者の問題についても考えられますね。
リニさんはインドネシアから来て働いています。
リニさんが取ろうとしている介護福祉士の国家資格は、
外国人には2回しか受験のチャンスはありません。
2回とも落ちてしまったら、国に帰るしかないのです。
日本政府は真面目で優秀な人だけを求めていることが分かりますね。
これから、リニさんのような看護師や介護福祉士は増えていきます。
その原因・理由を考え、これからの日本を考えると、
とても深いテーマの感想文になりますよ。
つまり、日本はこれから超高齢化社会を迎えて、
介護や医療の世界で働く人が不足していくのです。
外国の人たちとのコミュニケーションを上手にとりながら
生きていかなければならない時代になることをまとめましょう。
③認知症について考えてみましょう。
認知症はなってしまったお年寄り自身も大変です。
なぜなら、してしまったことを忘れてしまうから。
好調な時・不調な時の波があるので
自分がしたことを忘れて「わけがわからない」不安が
お年寄りにはあるのです。
周りの家族も大変です。
どれだけ説得しても、
また同じことが起きてしまう。
これはつらいですよ。
物語の中でも
祖父の困り感や家族の徒労感が
良く描写されています。
ポイントは「比べる!」
物語の内容と、自分の経験を比べることで、
より自分の考えが深まります。
比べるポイントを考えながら、感想文にまとめていきましょう。
こんな順番で書くと「読書感想文」としてまとまります!
①自分の経験(介護・デイサービス・祖父母のこと)を具体的に書く。
もし身近にデイサービスや特別養護老人ホームに行っている人がいれば、
お年寄りの話を直接聞いてみましょう。
どんなことを楽しみにしているのか。
どんな人生を送ってきたのか。
それぞれの人にはそれぞれの人生があります。
人生を語ってもらうことはとても勉強になります。
②物語の祖父の心の動きについてまとめる。
佑の祖父は元警察官でした。
しっかりした体、しっかりした頭でバリバリ働いていた人が、
道に迷ったり、お風呂のお湯をあふれさせたり、やかんを空だきしたりしたら、
とても不安になりますよね。
おまけにしてしまったことを覚えていたり、覚えていなかったり。
自分なら「私は大丈夫なのか?」と思ってしまいますね。
③認知症のお年寄りに対する接し方を考える。
佑の祖父は、自分が認知症だということが素直には認められません。
自分は少し衰えてきているけれども、しっかりしていると思っているからです。
でも、それは当然ですよね。やってしまったことを忘れてしまうのですから。
忘れたことは意識にのぼってきません。
だから、例えば道に迷ってしまった時
「なぜこんな所に自分がいるのか」
となって困ってしまったのです。
でも、やっぱり迷った事は忘れてしまうので
自分はしっかりしているはずだと思うのです。
④リニさんの言葉を使って、ポイント(お年寄りは、2度目の子ども時代を生きている)をまとめる。
リニさんは、お年寄りのことを「二度目わらし」ということを教えてくれました。
2回目の子どもという意味です。
確かに、子どもと同じで、だれかのサポートが必要な人たちが
デイサービスに来ています。
ちがう所は長い人生を送ってきて、たくさんの経験をしていること。
たくさんの経験を伝えてもらえると、きっと自分の役に立つことがあります。
人生を積み重ねてきたお年寄りの知恵への尊敬を表現しましょう!
⑤自分がどのようにお年寄りと関わっていくかを考える。
それまで、デイサービスなどに通うお年寄りのイメージがこの本を読んで変わったことを
まとめましょう。
お年寄りは体や記憶力は衰えてきたけれど
人生を楽しんでいる人がたくさんいることが分かったことを伝えましょう。
そして、お年寄りをサポートする仕事も、やりがいがありそうだと感じたことを書きましょう。
⑥これからの日本の様子について予想し、自分がどうしていくかをまとめる。
今、私たちが住んでいる日本は、超高齢化社会を迎えようとしています。
お年寄りはこれからも増え続けます。
サポートする若い人は増えません。
私たちは、お年寄りに対する尊敬の気持ちを忘れずに
お年寄りたちも幸せに生きられる社会を作っていこうと思うということを
最後にまとめていきましょう。
そして、自分自身も、お年寄りが幸せに生きられるための工夫をしていきたいことを
まとめて作文を終わりましょう。
もし介護福祉士を目指すなら、将来の仕事についてまとめましょう。
直接介護の仕事を目指すのではなくても、バリアフリーの開発とか、
社会的弱者にも配慮された社会を作るなど
目指すことを書いて終わりましょう。
最後に
デイサービスでヘルパー見習いとして仕事をした佑は
働いた経験が、将来の職業選択につながるでしょう。
そして、この本を読めば
あなたも自分の将来について考えられるでしょう。
将来について考えたことを読書感想文にまとめることで、
あなた自身がきっと成長できます!
作文は心をまとめる作業です。
頑張って下さい!