【フラミンゴボーイ】読書感想文の書き方&例~戦争で本当に怖いものとは~

「フラミンゴボーイ」は2020年の読書感想文課題図書(高校生)です。

戦争・ホロコースト・自閉症などをテーマに感想文が書けますよ。

ここでは、主な登場人物や場所についての説明をした後、

読書感想文のアイデアをまとめています。

あなたの参考になれば幸いです。

読書感想文対象学年

課題図書としては「高校生」ですが、

中学生でも十分に読むことのできる作品です。

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▶︎一言あらすじ

▶︎登場人物
▶︎感想文の例
感想文のアイデア・テーマ

【フラミンゴボーイ】ひとことあらすじ

ドイツ兵も悪い人ばかりではないし、フランス人もいい人ばかりではないことについて考えさせられます。

ロマの女性「ケジア」の物語に心が揺さぶられます。

あらすじを一言で言うと?

ナチスドイツがフランス南部のカマルグ周辺に侵攻した時、フランス人家族とロマの家族が何とか生き延びることができたお話。

ということで、この辺りが物語の舞台だということを知っておいてください。

風光明媚な田舎のようですね。

著者について

著者はマイケル・モーパーゴというイギリスの児童文学作家です。

そういえば、彼の作品は以前も課題図書(小学校中学年)になっています。

「最後のオオカミ」という物語で、イギリスとアメリカが舞台になっています。

興味のある人は是非どうぞ。

【フラミンゴボーイ】主な登場人物

感想文を書く前提として知っておきたい登場人物などをまとめておきます。

人物の説明の前にロマ民族とはどんな民族なのかを簡単に説明しておきますね。

「ロマ」について

ロマ民族は昔は「ジプシー」と呼ばれていました。

定住ではなく幌馬車に乗って旅を続ける民族です。

一般には土地を持たない貧しい民族なので定住している人たちにとっては差別の対象でした。

ナチスドイツはユダヤ人とともに民族浄化(絶滅)のターゲットとなり、たくさんの人たちが虐殺されてしまいます。

今も貧しい暮らしをしている人がたくさんいますが、音楽などの芸術に、秀でた人がたくさんいる民族です。

そんなロマの家族が、主要な登場人物であることを押さえておき、読書感想文につなげましょう。

主人公:ヴィンセント(ヴィンセント・モンタギュー)

イギリス人の青年。1982年の夏、彼が17歳の時フランス南部のカマルグで遭難?し、近くの農場に住むケジアとロレンゾに助けられる。

実質的には物語の進行役で、本当の主役はケジアとロレンゾです。

実質的な主人公1:ロレンゾ(ロレンゾ・スリー)

フランス人の男。カマルグの農場に住む。

1932年生まれということなので第2次大戦のころは12歳ぐらいです。

物語には書かれていませんが、独特の行動様式があり、「自閉症」だと思われます。

本のタイトル「フラミンゴボーイ」とはロレンゾのことで、

ロレンゾはフラミンゴに限らず、いろんな動物と心を通わせることができます。

言葉はまともではないけれど、心は真っ直ぐなんですよね。

実質的な主人公2:ケジア(ケジア・シャルボノー)

本来なら一生を旅で過ごすロマの女性。

ロレンゾと一緒にカマルグの農場に住んでいる。

第2次世界大戦末期に起きた自身の少女時代のエピソードをヴィンセントに語って聞かせる。

ロマの民は、ナチスドイツの迫害(ホロコースト)の対象だったので、

大変危険な目にあいます。

心優しいドイツ兵:カポ(カポラル:伍長)ヴィリ・ブレンナー

カマルグを占領したドイツ軍の伍長。

背が高く白髪で、礼儀正しい。

ケジアの一家の商売道具メリーゴーラウンドの修理にもこっそり手を差し伸べる優しいドイツ人。

出身地のドイツでは息子を亡くしており、子どもの笑顔を見るのを楽しみにしている。

ケジアの家族が危険を避けられるようにアドバイスをしてくれます。

ドイツ兵より悪質かもしれない:ミリス(フランス民兵団)

フランス人だが、ドイツ人に協力的な人たち。

自分たちの保身もあるのだろうが、密告や裏切りをするので油断ならない。

ロマやユダヤ人は迫害の対象なので、彼らに見つけられるのは非常に危険。

とまぁ、人物的には以上の人たちを押さえておきたいですね。

特に注目すべきはカポとミリスですよ。

支配者に媚びを売り、仲間を裏切る存在って、

生き残る術なのかもしれませんが、

非常に醜いものに、僕には見えます。

あなたはどう思いますか?

【フラミンゴボーイ】感想文のアイデア・テーマ

戦争は人の醜い部分をさらけ出してしまう…ということがテーマにできそうですね。

感想文アイデア
  1. 第二次世界大戦の頃のロマの人たちやユダヤ人の生きる環境と、関東大震災の頃の東京に住む朝鮮人の状況を比べ、集団心理や疑心暗鬼が人と人の繋がりを切ってしまう恐ろしさを訴える。
  2. ナチスドイツによるホロコーストについて調べ、選民思想の愚かさについて考えると共に、自分自身には差別意識がないのかどうかを考える。

1.のアイデアを少し詳しく書きます。

フランス民兵団ミリスも、所属してる人達には国を守るとか愛するという気持ちがあったはずです。

でも、愛国心がおかしな形で現れてしまって狂気の沙汰を巻き起こしたんですよね。

関東大震災で自警団が組織され罪のない朝鮮人が犠牲になったのも同じような心理状況だったのではないでしょうか。

身内にある差別意識を述べた後に、現代の日本や世界に同じような危険はないかを考えてみましょう。

2.についても少し詳しく書きます。

差別意識は人種についてだったり障害を持つ人に対してだったり、社会的弱者にだったりすると、あなた自身の意識について述べることができます。

今まであまり意識してこなかったことを読書することによって意識化できたことがまとめられれば、読書感想文としては大成功ですよ。

フランスの片田舎にも日本のど田舎にも戦争はありました。

第二次世界大戦の頃の体験を直接聞くことのできる人たちは、

まもなくいなくなってしまいますが、

戦争は2度と起こさないよいにしたいですよね。

戦争を起こさないために大事なことは何か、

あなたなりの答えを見つけ、

読書感想文にまとめてください。

【フラミンゴボーイ】読書感想文の例

さて、僕ならこんな流れで書くかな…という例を書きますね。

あなた自身の経験を振り返るための参考になると嬉しいです。

まずは、集団の中の「異物」について考える。

最初に、あなた自身の経験を述べましょう。

クラスでもクラブでも、集団で活動するところには様々な人が集まります。

それぞれの人たちが個性を持っているわけですが、

集団の中で浮きがちな人っていますよね。

その人の存在について考えてみましょう。

例えばこんな感じ…。

僕は共学の高校に通っている。

クラスにはいろんな人がいる。

正統派のリーダーもいれば、お調子者、発言がいつも的外れな人もいる。

全体としてはとてもいいクラスで、みんな尊重されている。でも、

詳しく見るとやっぱり力の強い・弱いはいろんなところで感じられる。

いつもいじられる人は、大体いつも同じ人間だ。

いじられる彼が蔑まされているわけではないけれど、それが彼の立ち位置だ。

と、差別に関して、自分のクラスや部活動の現状を分析し、物語の感想に入っていきましょう。

当時のヨーロッパでのロマの存在について考える。

次は、物語について考えたことを述べていきましょう。

今回は、当時、フランス国内にいる異分子としてのロマについて触れます。

例えばこんな感じ…。

フラミンゴボーイのケジアの家族はロマだ。

メリーゴーラウンドで生計を立てている。

いろんな土地に移動することで収入を得ることができるので、彼女たちは放浪生活を基本としている。

定住していないので、定住している人たちにとっては異物で、浮いた存在だといえる。

平和な時にはお祭りを盛り上げてくれるありがたい存在だけれど、

戦争時にはお金のないただの貧乏人で、地域住民にとっては迷惑な存在になってしまう。

それは、発達的な障害を持つロレンゾも同様だ。

と、社会的に浮いてしまう存在があったことに触れましょう。

不安定な状況で、集団の中の「異物」が排斥される流れについて考える。

軍隊の侵攻や天災なり、平穏ではいられない状態になった時、

社会的な弱者や差別されがちな人がどうなるかについて述べていきましょう。

例えばこんな感じ…。

戦争や天災で非常事態となった時、弱い立場の人々は迫害されがちだ。

実際、ドイツ軍が侵攻してきたフランス南部でも、ロマの人々は迫害された。

ただ、恐ろしいのは軍隊だけではなく、身内にいる民兵団だ。

国を守るために、そして自分の身を守るためにより弱い立場の人間を摘発していく。

スリー家にかくまわれたとはいえ、ケジアの家族もその被害にあう。

この物語はフィクションだが、現実にもそんなことはたくさんあっただろう。

非常事態では、どうしても弱い立場の人たちがより苦しい立場に追いやられてしまうことをまとめましょう。

日本やほかの場面での歴史的な類似の出来事を考える。

今度は、日本での出来事などを取り上げ、一般化していきましょう。

弱者が虐げられる現象は、様々な時に起こっています。

例えば…。

弱者が虐げられる現象は、

何も当時のロマだけではない。

日本でも、関東大震災の時、朝鮮人が自警団に虐殺される事件があった。

最近では、コロナウィルスに感染した人が

周りから差別されている。

平和な時期には問題なくても、危機的状況では、様々な問題が起こる。

それは、どんな世界にも当てはまるのかもしれない。

と、非常時には差別が顕在化しやすいことを訴えましょう。

自分の所属する集団に非常事態が起きたら…と想像する。

それでは、冒頭に触れたクラスの状況について

もう少し考えてみましょう。

平時は平穏無事だけれど、クラスの雰囲気が壊れたら…と想像しましょう。

例えばこんな感じ…。

僕のクラスは今、落ち着いている。

誰もが居心地の良さを感じている。そんなクラスだ。

でも、もし一度クラスの人間関係のバランスが崩れたら、

きっといじられる彼はいじめられる彼になるだろう。

お互いの絶妙なバランスで、今は落ち着いているけれど。

と、人間関係は危ういバランスの中で成り立っていることを強調しましょう。

誰もが尊重される社会について考える。

最後に、平和を保つためにできることを考えよう。

お互いに尊重しあえる関係を保つことが大切だということをまとめて

感想文を終えましょう。

例えばこんな感じ…。

ケジアとケジアの両親は、無事、生き残ることができた。

しかし、ホロコーストの犠牲になったロマの人々はたくさんいる。

現代だって、非常事態になれば何が起こるかわからない。

大切なのは、非常事態を起こさないよう、努力することだと思う。

私のクラスは今は落ち着いているけれど、平和な状態が続けられるように、

私自身もいろんな人をつなげられるように努力していきたい。

どんな集団にもいい人もいれば悪い人もいる。強い人もいれば弱い人もいる。

どんな人でも心地よく過ごせる社会になっていくよう、心がけていきたい。

と、平和な世界を保つ努力をする決意をしてしめくくりましょう。

最後に

フラミンゴボーイには沢山の人物が登場しますが、

ボクの心に一番残ったのはドイツ兵のカポラルです。

兵隊にも心優しい人がいることを感じさせてくれました。

考えてみれば自分のご先祖にも兵役についてた人がいます。

その人もとても穏やかな性格の人でした。

でも敵にとっては憎むべき相手になってしまいます。

戦争って、やっぱり起こしてはいけませんね。

平和な世の中が続けられるように、

努力していきましょう。

この気持ち、読書感想文に反映させてくださいね。

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