【ウィズ・ユー】で読書感想文!流れの例とヤングケアラー
読書感想文対象学年

この「ウィズ・ユー」は、中学生の読書感想文におすすめです(2021年度課題図書)。

ここでは、読書感想文のテーマのアイデアと

書き方の流れの例をまとめています。

あなたの参考になれば幸いです。

【ウィズ・ユー】ひとことあらすじ

あらすじを一言で言うと?

優秀な兄に劣等感を抱いている中3の少年が、家族の世話に疲れ切っている中2の少女と出会い、成長していく物語。

進路の悩みやそれぞれの家庭環境について考えさせられます。

あなた自身のことを見つめなおすと、オリジナルの読書感想文になりますよ。

【ウィズ・ユー】主な登場人物

ここでは「ウィズ・ユー」に登場した主な人物や場所について、簡単に解説します。

悠人(柏木 悠人 かしわぎ ゆうと)

緑中の3年生男子。全国レベルの模擬試験で一桁という賢い兄(直人)の弟で、劣等感を感じながら生きている。

父とは別居中で、母と兄との3人暮らし。母は非常勤の公務員として福祉課で働いている。

朱音(富沢 朱音 とみざわ あかね)

坂和中の2年生女子。坂和ヒルズという高級マンションの住人。東京の有名私立学校から転校してきた。

一見するとただの女子中学生だが、父親は単身赴任中で不在なのに母親は心の病気発病中という家族の悩みを抱えている。

いわゆるヤングケアラーと呼ばれる状態になっている。

その他にもたくさんの登場人物がいますが、それぞれみんな、事情を抱えて生きています。

うわべだけではわからないこと、きっとあなたにもありますよね。

見た目だけではわからないことがあることを、自分自身を振り返りながらまとめていきましょう。

【ウィズ・ユー】感想文のアイデア・テーマ

この物語の重要テーマは、まだ社会的にあまり認知されていない「ヤングケアラー」についてです。

2021年の3月に厚生労働省・文部科学省が連携して調査し、結果についてまとめられたので、今後クローズアップされてくる問題かもしれません。

中学生の20人に1人はヤングケアラーという結果は、結構なインパクトで、ニュースでも取り上げられていました。

感想文アイデア

・ヤングケアラーの実態調査からわかることをまとめ、作品の登場人物に共感しつつ、自分の生活を振り返る。
・全然実力の違う兄弟がいることへのコンプレックスについて共感する。
・志望校と実力の差があるときに、どうすべきか悩んだり、学んだりしたことをまとめる。
・見た目だけではわからない、それぞれの人が持つ悩みについて想像する。

あなた自身がどのような状況かはわかりませんが、身近なところにも家族のケアをしていて大変な思いをしている人がいるかもしれませんよね。

偏見はよくないのですが、大変な生活をしている人がいるかもしれないと思いを広げることで、人への接し方が変わります。

物語から考えたことと、身近な経験をつなげ、読書感想文にまとめてみましょう。

【ウィズ・ユー】読書感想文の流れの例

では、僕ならこんな流れでまとめるかな…という例を書いていきます。あなた自身の例を織り込んで、オリジナルの感想文に仕上げてくださいね。

ヤングケアラーについて資料を基にまとめる。

あなたは、ヤングケアラーという言葉を知っていましたか?僕は知らなかったので、こんな書き出しを考えました。

もし、ヤングケアラーという言葉を知っていたのであれば、知っている内容から書き出すと良いでしょう。

ヤングケアラー。この言葉を僕はこの本を読んで初めて知った。気になったのでインターネットで検索してみると、文部科学省・厚生労働省の共同調査の資料が見つかった。資料によると、中学生の5.7%が、家族のケアをしているということだった。大体20人に1人以上ということだから、僕のいるこのクラスにも1人以上はいる可能性がある。

以外に身近なところにヤングケアラーはいるかもしれないことに気づきましょう。

朱音の悩みについて考える。

ヤングケアラーの感じる「重さ(責任)」は、きっと普通のお手伝いをしているだけでは感じられないものです。家事と手伝いの違いについて考えていきましょう。

例えばこんな感じで。

物語の中で、朱音は妹の世話や料理などを、「お手伝い」ではなく「家事」として行っていた。そのために、ドラマやバラエティ番組を見たり、ネットを使ったりするプライベートな時間や睡眠時間が削られ、精神的に疲れ切ってしまっていた。
「手伝い」と「家事」では、責任の重さが違う。だからこそ、ストレスがかかる。ただ、ぼくは家事をすることだけではなく、お母さんが心を病んでしまっていることも、朱音がストレスを増大させている大きな要素だと思う。
 自分が家事をしなければ家庭が崩壊してしまうのではないかという不安感を持ちながらの生活は、朱音にはとてもしんどいものだろうし、僕には耐えられないかもしれない。

家事は、誰もが協力してすべきだとぼくは思いますが、家事の負担が一部に偏ってしまうと、負担の重い人はとても大変で疲弊してしまうことがあることを想像しましょう。

自分の置かれた環境を振り返る。

では、今度はあなた自身のことを考えましょう。読書して感じたことをもとにあなた自身のことを考える。読書感想文の最も重要な要素ですよ。

朱音は「お手伝い」ではなく「家事」をしていた。悠人が何の「お手伝い」をしていたかは物語の中では明らかではなかったけれど、母と兄との3人暮らしだったから、食器を片付けるとか、洗濯物をたたむとか、きっと何かをしていただろう。
僕自身のことを考えてみる。料理は、平日は主に母親が、休日は父親がしてくれている。僕は毎日、食事の後片付けを「家事」として行っているつもりだ。僕が「家事」をすることで、両親にもテレビドラマを見たり音楽を聴いたりという趣味の時間が持てている。僕が自分のこととして使える時間は30分程度減るけれども、その分ほかの誰かの役に立つと思えば、僕にはそんなに苦ではない。
ただ、もし片付けがいい加減だったとしても、両親が最後の後始末をしてくれている。最終的な責任は親が負っているということを考えると、僕がしているのはやっぱり「お手伝い」程度のことかもしれない。僕には、勉強する時間も、テレビを見る時間もゲームをする時間も結構あるし、精神的に追い込まれる状況からは程遠い。

僕は、わりと暢気に生きている中学生のつもりで例を書いてみました。

あなた自身はどんな環境の中で生活しているかを是非まとめてみてください。

あなただけの経験は、あなたにしか書けないものなので、読む人にとって、きっと興味深い情報になるはずです。

自分の周りにもヤングケアラーはいること、自分にもその可能性があることを考える。

自分自身のことを振り返ったら、今度は自分のクラスのことに目を向けましょう。

統計的には普通のクラスに1人程度はヤングケアラーは存在するのですが、学校生活だけでは見えない部分があることをまとめましょう。

中学生の20人に1人以上はヤングケアラーだということは、自分のクラスにもいるかもしれないということだ。僕はクラスの友達にそんな可能性があるということを、考えたこともなかった。
でも、この本を読んで、クラスメイトのことを思い浮かべてみた。いつも能天気でバカ話ばっかりしている友達、クラブ活動に一生懸命で楽器の練習ばかりしている友達、いろいろいるけれど、僕が知っているのは彼らの学校での一面でしかない。もしかすると、家に帰ったら「手伝い」ではない家事をしている可能性はある。僕が知っているクラスメイトは、その人の一面でしかないということを改めて考えさせられた。

それぞれの人が、場に応じて自分を演じているといううことに思いを至らせましょう。

そして、自分が他人を見る時の目が少し変わったことをまとめましょう。

よりよい家族であるための「役割」についてまとめる。

学校での顔と、家での顔は違いますよね。

学校で期待されている自分のキャラ、家で求められている自分のキャラを考え、自分の「役割」についてまとめましょう。

例えば…。

僕は、学校の中では目立たないごく普通の男子をしている。授業で意見を求められれば発言するけれど、普段はおとなしく過ごしている。友達と過ごすときにはバカ騒ぎもすることはあるけど、クラスを盛り上げるために面白いことをするとか、大きな声で応援するとかは、誰かの後追いでやっている。目立つことが好きではないからだ。学校ではそういう存在で認められている。
家では、3人兄弟の真ん中として一家の「潤滑油」として存在している。高校生の兄と小学生の妹のケンカの仲裁をしたり、夫婦ゲンカがこれ以上ヒートアップしないようにとぼけた話題を提供したり。少しのお手伝いをしながら家族の関係を良好にしていこうと努力している僕の姿を、当然ながらクラスの友達は知らない。そう、普通の付き合いでは、クラスメイトの違う側面なんて、見えないものなのだ。

クラスでの自分と、家での自分は異なる役割を持っていること、そしてクラスからは家での役割は普通は見えないことをまとめましょう。

そして、まとめへとつなげていきましょう。

人は一面だけではとらえられないことをまとめる。

さあ、まとめに入りましょう。

あなたを含め、誰もが場に応じた役割を演じています。

学校で普通の顔をした友達も、もしかすると家では大変な思いをしているかもしれないのです。

人を一面だけでは判断せず、思いやりの心で接していきたい、という方向で感想文を締めくくりましょう。

例えば…。

クラスの友達からは僕の家での姿が見えないように、僕もクラスの友達の学校以外の姿は、よほど仲の良い友達ぐらいしか分からない。そう考えると、ヤングケアラーと呼ばれる状態になっている人は、クラスに実際にいるのかもしれない。苦労している所、友達には見せたくないだろうから、ヤングケアラーとの存在は余計わかりにくいだろう。
僕は、ヤングケアラーがいるかもしれないということを、この本を読むことで想像できるようになった。これからは、だれもが、僕の知らない側面を持っているということを心に留め置きながら人とのコミュニケーションをとっていきたい。

人は多面的であり、一面だけで判断せず、お互いに尊重していきたいとまとめましょう。

最後に

ヤングケアラーって、考えてみると二世代ぐらい前には当たり前だったんだよね…とも思います。

上の子が下の子の世話をするとか、農繁期は学校を休んで仕事をするとか。

子守りとか料理とかを子供がやってて当たり前だった時代とはものの考え方が変わってきたんでしょうね。

僕は、ヤングケアラーが「児童虐待」に当てはまる程度ならヤングケアラーは救い出さなければならないと思います。

手伝いとの線引き、難しいですが、それぞれの人権を守る必要がありますよね。

誰もが幸せに生きられる社会を作っていきたいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

あなた自身のエピソードを考え、織り込んで

オリジナルの読書感想文に仕上がることを願っております。

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